ヴァイオリンの弓の張り方
「ヴァイオリンの弓はどのくらい張ったら良いですか?」という質問を受けることがあります。
基本の弓の張り具合
弓の手元のネジを回していくと、弓の毛と弓の竿(木の部分)木がほぼ平行になります。これは張りすぎです。
弓はある程度弾力をつくるために逆反りをしていて、この反りがとても重要です。この弾力をつくるために、弓の申し訳真ん中あたりでは小指が入るくらいの隙間までにとどめておきましょう。
さらに弓は個体差があり、弓によって張りの強さが変わります。目でよく見て、そして弾いた感覚で張り具合を覚えましょう。
曲によって変える「弓の張り具合
また、曲によっても変えることがあります。
例えばこれは特殊な技ですが、ハイポジションの多い曲を弾くときには、スクリュー(ネジ)を1~2回多く回して弓の毛を強く張ることがあります。ただし、回し過ぎると弓を壊してしまうおそれがありますから、十分注意して下さい。
アメリカの音楽院教授のティール先生が「有名な作曲家&音楽家のフリッツ・クライスラーは、弓の毛を強めに張って演奏していたらしい」という話をしてくれたことがあります。なるほど、演奏しているクライスラーの写真を見ると、そのことがわかります。
おまけの弓の話
それから、弓の毛を手で触るのはやめましょう。触っていなくても、松ヤニが体温に反応して溶けてしまいます。溶けた松ヤニにホコリや汚れが付着すると黒く変色してしまって音が出にくくなります。
弓は主にペルナンブーコという木でできていますが、染料や家具の材料として乱伐が進み、2007年に 絶滅危機種になってしまいました。つまり、良質な弓の材料はどんどん減っているのです。
演奏する際には毛を張り、力強い木の弾力を感じるのでそんなに弱くは感じませんが、実は簡単に折れてしまいます。
実際に家具に引っかけてポキっと折ってしまう、ライトにぶつけて弓先が割れた、譜面台に乗せていて横を通った時に引っかかって落として折れた、など多くの事故があります。弓を強く張るのが好きでそうしていたら、ある日突然折れてしまった、という話も聞いたことがあります。弓は神経質に扱うくらいでちょうど良いでしょう。
関連記事
-
-
HAUCHARDに入りました♪
当教室では、幼いお子様は、教本「ヴァイオリンのおともだち」という教本を使っていま …
-
-
絶対音感トレーニング順調に
絶対音感トレーニングを始めた生徒さんたちは、順調に耳が育っています。 お家の方々 …
-
-
クリスマスコンサートに向けて 7
いつもは夕方のレッスンのMちゃん。 今週は午前中のレッスンだったこともあり、元気 …
-
-
ヴァイオリンの開放弦の練習
ヴァイオリンを始めたばかりの方や、久しぶりにヴァイオリンを弾く方の場合は、先ず「 …
-
-
ト音記号はヴァイオリン記号
Πヴァイオリンの楽譜は、(殆ど全部)ト音記号で書かれています。 この「ト音記号」 …
-
-
ヴァイオリンを毎日練習しました♫
「A君と『ヴァイオリンを毎日練習したら、どのくらい上手になるかしら?』と話し合っ …
-
-
ヴァイオリンの朝練習始めました!
家からちょっと遠い小学校に通うMちゃん。 「先生、今日の朝、弓の体操やってから学 …
-
-
キャンプのヴァイオリン
今日の「毎日小学生新聞」の最後のページに載っていた記事。 ギリシャ・レスボス島の …
-
-
ヴァイオリンでオーケストラに
もしヴァイオリンを習って、ある程度弾けるようになったら、是非経験していただきたの …
-
-
クリスマスコンサートを終えて 4
毎週 着々と成長の見られるSちゃん。 教本「ヴァイオリンのおともだち」も、一人で …
- PREV
- ヴァイオリンの弓は まっすぐに
- NEXT
- 3歳前後のお子様のヴァイオリンレッスン