ヴァイオリンの進み具合(ご参考まで)
どのくらい続けると、どのくらいの曲が弾けるようになるのかしら?
そう疑問に思う方も少なくないかと思います。
この質問に答えるのは、ちょっと無理があるかもしれませんね。何故なら、ヴァイオリンに限らず、すべての「お稽古事」に共通していることかと思いますが、
*練習する頻度(毎日1回、日に2度以上、一週間に1回、2〜5回など)によって、大きく差が出てきます。
*始めたあたりの飲み込みの早い人、始めはゆっくりの人。こればかりは個人差があります。どちらが良いとか、得ということはありません。それは、それぞれ「良い点」と「工夫した方が良い点」が表裏一体になっているからです。
早い人は曲も早く進みますが、音を綺麗に弾くことに興味がなかったり、途中(ヴァイオリンの場合、ポジション移動が入って来たあたり)直ぐに習得が出来ないストレス負けしそうになりやすいかもしれません。
ゆっくりな人は、曲の進み具合はゆっくりでも、音色に深みが出やすく、味わいのある演奏をします。アメリカの音大教授のティール先生は「時間をかけると、その分その曲について詳しくなるから素晴らしいことです。」とおっしゃっていました。
*練習も「何を気をつけて練習するかを考えながら」するか、なんとなく譜面を目で追っていく…漫然と弾いている…かでも変わります。
以上を踏まえつつ、講師歴30年の経験の記憶を頼りに記述してみます。
最初の導入
ヴァイオリンを弾くための、立ち方、構え方、弓の持ち方(弓の体操)など。
開放弦のロングトーン練習。
左指の第一ポジションの押さえ方。
これに最短1ヶ月、5歳位から小学校低学年のお子様ですと数ヶ月、幼い子はこれを数ヶ月から一年近くかけてしっかりやります。
初歩の曲
「日の丸変奏曲」「メリーさんの羊変奏曲」は数ヶ月から。
「キラキラ星変奏曲」は一年弱。
初めてのコンチェルト(オーケストラ伴奏のソロ曲)
有名な「ザイツ作曲 コンチェルト」。これは2番から始める場合が多いですが、これに到達するのが早い人で1年です。
ゆっくりペースでも、ちゃんと練習する習慣がついていれば、「リーディング作曲 コンチェルト」がヴァイオリンを始めてちょうど一年前後の発表会で弾けるようになっています。
他にも楽器をやったことがある方
代表的なのはピアノですが、他にも楽器をやったことがある方は「譜面が読める」「楽器練習ということが、どんなことかを知っている」という利点が加わるので、基本的に進み具合は早くなります。
また、お家に「ある程度専門的なレベルで楽器演奏出来る方が、練習に協力してくれる」場合は、かなり有利です。ただ反面「家での練習が、あまりに厳しくて嫌になってしまう」という場合(リスク)は少なくないようです。私の音楽仲間の子どもたちは「得なようで非常に大変な思いをする」ようです…(勉強の場合と同じように)自分の子供だと、どうしても頑張ってしまいますよね☺
人と比べないこと
これは余談ですが、これほど大切なことはありません。他人のことが気になる気持ちはわかりますが、比べてしまって良いことは何もありません。
有名なヴァイオリニスト、千住真理子さんのお父さんも「人と比べるなら(ヴァイオリンを)やめなさい。」とおっしゃっていたそうです。NHK交響楽団のコンサートマスター篠崎史紀さんも「他人と争わないこと」「早く上手になろうなどとは思わずに、自分のペースで確実に基礎を身につけることが大事」とおっしゃっています。
「音楽の感動を表現するために技術を磨いている」はずなのに「技術を磨くことが目的」になりかねません♫
公開日:
最終更新日:2015/05/10